正常組織・臓器/器官の構築においては、組織特異的幹細胞による組織細胞の産生が必須ですが、同時にこの幹細胞を中心とした、組織環境の構築がこれら幹細胞システムを維持していく上では重要です。組織環境の要素として、基本骨格をなすのが血管であり、血管構築がなければほとんどの臓器・器官の形成は阻害されます。私たちの研究室では、このような正常臓器・器官における血管新生と組織幹細胞の幹細胞性の維持機構についての分子機構を解明し、特に病態形成との関わりにおいては腫瘍に焦点をあて、がん幹細胞の発生/増殖/維持のメカニズムと、それを支持する生態学的適所(ニッチ)を解析し、がんを根治する治療法の開発を行っています。また、2009年度より、JSTの戦略的創造研究推進事業(CREST)にも採択されて、生理的な細胞のリプログラミングによる、組織細胞の幹細胞化誘導の研究にも着手し、組織再生/再構築の新規方法論の確立にむけ研究がスタートしています。
研究室では、病気克服のための新しい治療法開発を行うことを目的として、医学、薬学、理学、工学など様々なバックグランドをもつ院生や研究者が集まって、生物学/医学における新しい概念の創出のために、分子レベルから、細胞そして個体レベルでの研究に日夜励んでおります。得られた成果は積極的に知的財産とし、産学連携による創薬への応用を含め、実際に社会に還元できるよう努力し、また、国際的センスはもちろんのこと、企業センスのある研究者の育成にも努力をしております。幹細胞研究や血管研究に興味のある方、私たちの教室に一度足を運んでみて下さい。
高倉 伸幸 Nobuyuki TAKAKURA